

これまで、当たり前にあったものが今すでに無くなってきています。
なんでこんなことが起こっているの?世界情勢の流れを、特に飲食業界に絞ってお伝えしたいと思います。だから、モノがないんです。
3月のブログで「ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となった」とお伝えしてから、約2か月が経ちました。その後、中東情勢は停戦という言葉は出てきていますが、まだまだ収束には至らず、依然として原油由来の様々なものに重い影を落としています。さらに、アメリカの経済的な動き、進行する円安、国内では人手不足や最低賃金引き上げの議論、そして食料安全保障の問題まで──と、飲食業界を取り巻く環境は「複数の波」が同時に押し寄せる、これまでにない難しい局面に入ろうとしています。
コロナ禍以降だとコロナ禍が「第一の波」、その後の物価高騰を「第二の波」とするなら、いま私たちが向き合おうとしているのは、地政学リスク・通貨・人材・気候・消費マインドが複雑に絡み合う「第三の波」です。一つひとつは小さく見えても、重なると現場の体力をじわじわと削っていきます。

社長ブログ50回目という節目に、私なりにこの夏から年末にかけて、皆様の現場にどんなことが起こりうるかを整理してみました。
これから起こりうる5つのこと
1. 原油・物流コストは「再び」上がる可能性

ホルムズ海峡を巡る情勢は、一進一退が続いています。仮に大きな衝突は避けられたとしても、シーレーン保険料の上昇や迂回ルートの常態化、またすでに湾岸諸国の原油施設、天然ガスの施設が攻撃され復旧まで長期間かかることにより、原油は当面「高止まり」が前提となります。日本の場合は政府が補助金を出しているのでガソリン価格はそんなにあがっていませんが原油由来の様々な原料となる製品はかなり値段が上がり、ものによってはひっ迫している状況です。


私たちがこれまで意識してこなかった包装資材、フィルム類、消耗品、炭酸ガス、シンナーなども、もとを辿れば原油由来です。トラック運賃・電気・ガスも含めて、固定費がもう一段上がる可能性は十分にあると見ています。

えっ、フィルムとか炭酸ガスまで原油由来なんですね…!
「原油高=ガソリン代」くらいにしか思ってなかったので、お店の運営コスト全体にここまで広く影響するなんて…。こういう”見えにくいコスト”までちゃんと伝えられるようにしたいですね…!
2. 動物の病気と円安のダブルパンチで、輸入食材は再値上げへ

イタリアやスペインの豚熱の影響やブラジルの鳥インフルエンザの影響で、世界の食料サプライチェーンは再編の只中にあります。牛肉、鶏肉、豚肉、チーズ、ワイン、ナッツ類、調味料、農産品、加工品など、これまで「安定して入ってきていたもの」が、急に欠品したり、価格改定の通知が早まったりするケースが増えていくと見ています。
加えて、160円だったものが為替介入で円高に振れたりもしましたが160円近くの円安基調が続けば、ドル建てで仕入れているほぼ全ての輸入食材で値上げ要請が出てきます。「春に決まった価格が、夏にもう一度動く」──そういうつもりで備えておくことが必要です。

特にこの数年は、産地側からの価格改定サイクルが短期化しています。半年ごと、四半期ごと、ものによっては月単位での見直しも珍しくありません。「値上げの連絡が来てから慌てる」のではなく、主要食材ごとに『次の改定はいつ頃か』を、平時から考えておくことが、これからの仕入れの鍵になると感じています。我々も情報はなるべく早くを考えて行動してまいります。

「春に決まった価格が、夏にもう一度動く」って、現場の方は本当に大変ですよね…。
価格の動きがこんなに早いと、“鮮度”が命ですね…!
スピード感、私ももっと意識しないと…!
3. 国内の生産現場も、この「夏」が試される
国内の農畜産物も決して安泰ではありません。燃料費・肥料・飼料の高止まりに加え、近年の猛暑による作況不良も毎年のことになりつつあります。
今夏も葉物野菜・トマト・きゅうりなど、相場が大きく動くと予想されます。お米についても、新米に向けて今の在庫を何とかしようとだいぶ価格が下がってまいりました。新米シーズンまで価格は下落してくると思いますが、この夏の気温次第でお米の出来が悪くなるとまたどのような価格となって来るかわからないですし、安定供給もままならない状況もあるやもしれません。「国産だから安心」とは言いきれない時代に入りました。

水産も、海水温上昇の影響でサバ・サンマ・イカといった大衆魚の漁獲が読みづらく、定番メニューの安定供給に頭を悩ませる店舗様も多いと思います。「これまで当たり前にあったものが、当たり前ではなくなる」──そんな前提で、これからのメニュー設計を見直す必要が出てきています。
4. 人手不足は「ピーク」を迎える夏に
最低賃金は今年も全国平均で大幅な引き上げが見込まれます。インバウンドの回復でホテル・観光業との人材の取り合いも激化しており、求人広告を出しても応募が来ない、夜営業のシフトが組めない──そんな声を、現場の皆様から本当に多く伺うようになりました。さらに追い打ちをかけるように外国人の特定技能の定員がオーバーするということで審査が締め切られてしまい外国人もなかなか入ってこられない状況です。

人件費の上昇と採用難は、今や原材料高に並ぶ、いや、それ以上の経営課題になりつつあります。シフトを「人で埋める」発想から、「仕組みで回す」発想に切り替えること──ここを夏までにどれだけ進められるかで、年末商戦の戦い方が大きく変わってくるはずです。
5. 物価高で消費マインドが落ち込んでいくかも
このブログでも何度も書いてきていますがデフレが終焉しインフレ経済へと舵を切っています。物価はこれまでに触れてきたようにこれからも様々な要因で着実に上がっていきます。いろいろな企業が頑張って賃上げをしていますが、実質賃金がなかなか伸びない中で、外食頻度を抑える傾向も一部では出てきています。「特別な日はしっかり使う、普段は控える」という二極化が一段と進み、客数の波が読みづらくなる店舗が増えるはずです。

平日と週末で来店動機がはっきり分かれる、ランチとディナーで客層が違ってくる──そんな店舗の声も最近よく耳にします。今まで以上にお客様の動きに注目して人員体制やメニュー構成の見直しなどが必要となってきます。
私たちが今、共にできること

今回の5つの波は、ばらばらに来るのではなく、重なって押し寄せます。だからこそ、対策も「総合戦」で考えていく必要があります。私からは、次の3点をご提案させてください。
1. メニュー戦略の「二極化」を、もう一歩進める

低価格・回転重視なのか、素材・体験で価格を取れる高付加価値重視にするのか。中間に商品を幅広く置く構成は、原価高・人手不足の時代には最も苦しくなります。「うちはどちらで勝負するのか」を、改めて見直していただく時期だと感じています。

インフレの時は低価格を維持するのには限界があります。いかに付加価値、お店の魅力を上げていくのかが一番重要なこととなります。
2. オペレーションの「省人・省エネ」総点検

人時生産性と光熱費は、今や同じくらい重要な経営指標です。仕込み工程の見直し、半製品の活用、厨房機器の運転時間の最適化──小さな改善の積み重ねが、利益率を守ります。また、新しい発想やメニューなどもAIの力を借りて行えばその分の時間も節約できます。弊社からも省人化につながる業務用食材・カット野菜・冷凍ソリューションのご提案を、これまで以上に強化してまいります。
3. 仕入れの「バックアップ」と、情報の「スピード化」
主要食材の代替品を、平時から1〜2品確保しておく。そして、価格・在庫・代替提案の情報を、できる限り早くキャッチする仕組みを持つこと。
私たち関東食糧も、営業担当はもちろん、カントーエクスプレス・LINE・Instagramを通じて、現場で本当に必要な情報をスピード感をもってお届けしてまいります。「あの食材、今どうなっていますか?」と気軽にお声がけいただける関係こそが、こういう時代の最大のリスクヘッジだと考えています。
最後に
今年の夏も暑く、また様々な課題に直面する夏となると思います。
それでも、人はどんな時代でも「美味しいもの」を食べて、明日への活力を得る生き物です。だからこそ、皆様の店が一軒でも多く笑顔の場であり続けることは、私たち食材を扱う者の使命そのものだと考えています。
関東食糧は、食空間創造企業として、情報・商品・提案の三本柱で、皆様の現場に伴走してまいります。値上げの一報をお伝えするだけでなく、その先の「ではどうするか」まで、一緒に考える存在でありたい。代替食材のご提案、メニュー開発のヒント、業態に合わせた省人化アイデア、産地とつながり、付加価値の高い商品の開発──私たちが日々の商売の中で蓄えてきた知見を、これまで以上に積極的にお届けしていきます。

一店舗・一店舗の課題に寄り添い、共に乗り越えていく。それが、社長ブログ50回を迎えるにあたっての、私の改めての覚悟です。これからも皆様のお役に立つべく、全力で食材の安定供給と情報提供に努めてまいります!








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